研究開発職Ｙが昔から知られているニンニクの精力剤効果を徹底解説します。

　ニンニクはネギ属の多年草で、球根（鱗茎）を香辛料として広く用いられています。ニンニクの効能や効果は古く六千年前より認知されており、エジプト、ギリシャ、ローマ、インド、中国などの古代文明でニンニクが食用・薬用として重宝されていたことが分かっています。日本でも「古事記」に登場しており、昔の人は体感的にニンニクが体に良いということを実感して広く民間療法として知られていました。

ニンニクの効果・効能・成分

　ニンニクにはさまざまな薬理作用があることが知られており、古代より民間薬として利用されてきました。この薬理作用についてニンニクの特徴的な成分である有機イオウ化合物が重要な役割を果たしていると考えられています。ニンニクは野菜の中で一番抗酸化物質を多く含んでいます。また、熟成・発酵させた黒ニンニクは通常のニンニクには微量しか含まれていない「S-アリルシステイン」が増加しています。S-アリルシステインはニンニクにしか含まれていない成分です。黒ニンニクに含まれるS-アリルシステインの効能・効果で最も特長的なのはガン細胞を殺すと言われている「NK細胞（ナチュラル・キラー細胞）」の活性作用です。ちなみに、果物を含めた野菜果物の中で一番抗酸化力が高いのはバナナだそうです。バナナ最強説！（東北大学 大久保一良教授の研究）。

・ニンニクの主成分
アリイン：無味無臭の特殊なニンニクのアミノ酸。すり下ろしたり刻んだりすると、アリナーゼの働きにより悪臭を発する。
アリナーゼ：触媒的作用をする酵素。ニンニクの細胞が破壊されるとアリナーゼの働きにより、アリシン・ジアリルジサンファイドなどの物質が生成される。加熱すると働きが弱くなり匂いが少なくなる。
アリシン：アリインがアリナーゼの作用によって生成される硫黄性化合物。反応性が高く刺激があり不安定な物質。抗菌力を有する。
ジアリルジスルフィド：アリシンが分解してできるニンニク油の主成分。悪臭があるが抗菌性や薬効もある。
アホエン：アリシンが加熱されて生じる物質。抗血小板作用・抗菌作用がある。
アリチアミン：アリシンとビタミンB1が結合してできる物質。
スコルジニン：ニンニク中のある物質と糖分が結合してできた物質。ニンニク成分なのに無臭であり、体力増強や抗ガン作用がある。
ゲルマニウム：ニンニク中に含有されるミネラルの一種。酵素を全身に供給する働きがあり、疲労回復や強壮に効果がある。抗ガン作用があることも知られている。
メチルアリルトリスルフィド：血小板凝集抑制作用がある。血液の凝固を防ぎ脳卒中や心筋梗塞などの血栓症を防止する。
他の成分：ビタミンA、β-カロテン、チアミン (B1)、リボフラビン (B2) 、ナイアシン (B3) 、パントテン酸 (B5)、ビタミンB6、葉酸 (B9)、ビタミンC、カルシウム、鉄分、マグネシウム 、マンガン、セレン、リン、カリウム、ナトリウム、亜鉛

・ニンニクの薬効
ガン予防、かぜ予防、アトピー性皮膚炎に効果、肝臓強化、糖尿病予防、ぜんそく・気管支炎による痰を取り除く作用、コレステロールを下げる効果、強壮剤効果、抗酸化作用による活性酸素除去、抗血栓作用、コレステロール抑制作用、動脈硬化予防、抗菌力、殺菌力。
→ニンニクの学術的な研究データと健康への影響

中国産ニンニク輸入のニュース

　2008年1月末に中国製冷凍ギョウザを食べて有機リン（メタミドホス）による中毒を引き起こした「天洋食品事件」、また同年10月には中国製冷凍インゲンの農薬汚染による中毒事件も発生。このため、2008年、2009年と中国からの食品輸入の実額は大きく落ち込みました。その後は2014年から実額が回復傾向になっております。日本にとって中国の食品輸入件数は昔から今まで第一位と
中国は世界のニンニク生産量の8割を占めています。2019年1月に日本に輸入された中国産の生鮮にんにくの茎から農薬（殺菌剤）プロシミドンが検出されました。検疫所のモニタリング検査から残留農薬が検出されたと厚生労働省から発表がありました。ただ、この残留農薬プロシミドンの許容一日摂取量は超えることがなく健康に及ぼす影響は無いとのことです。

　　　　　　
→中国産にんにくの芽1万3000kg 基準値の20倍の殺菌剤 厚労省が検査命令（2019年01月25日 ハザードラボ）
→厚生労働省HP　輸入食品に対する検査命令の実施（平成31年1月24日報道発表資料）